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ええっ!

2015年05月12日 20:10


http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00360-004-0415-7

この論文を読んだ時の素直な感想である。
貝を背負ったオカヤドカリの仲間は、世界に 1 属しかいない小さなグループであるが、同じオカヤドカリ科にはヤシガニという別属がいる。
この論文は、ヤシガニの消化(同化)能力について、食べた餌と排泄物の組成を比べることで解析している。
「ええっ!」と声が出たのは、ヤシガニはセルロース(植物由来の食物繊維)やキチン(節足動物の外骨格)を分解できる、その酵素を持っているだろうと述べられているところであった。
セルロースやキチンは、一般的に消化するのがとても難しい。
どちらも多糖類なので、栄養としてのポテンシャルは高いのだが、糖同士がガチガチにくっついていて、効率よく消化できる生物はあまり多くない。
それらを、ヤシガニはかなりいい効率で分解して、体に取り入れているかも知れないというのだから驚きである。

オカヤドカリに最も近い親戚であるヤシガニがもつこの能力。
もちろん、オカヤドカリとヤシガニでは食性も異なるのだから、一緒くたに考えてはいけない。
しかし、もしもオカヤドカリが同じようなことをできるとしたら、どうだろうか。
我が家の若紫(ヤドカリ)に与えている餌は、主として落ち葉と昆虫だ。
これを主食と決めたのは、第一に先人の皆さんからの指摘があった。
その上で色々なもの与えて観察したところ、「喰っている」と感じられる量を食べた餌が、この 2 つだったのである。
色々な生き物を飼ってきた経験から、感覚的にこれならいけると思ったのを覚えている。
落ち葉の主成分は、セルロースなどの食物繊維である。また、昆虫の外骨格はキチン質(クチクラとも呼ばれる)でできている。
一方、以前オカヤドカリの糞の中に昆虫の外骨格が含まれているのを確認しており、キチン質は分解できないのではないかと考えた記事がこちら。

http://purpureus.blog9.fc2.com/blog-entry-24.html

しかし、昆虫のクチクラは層構造になっており、上の記事のようにちょっと顕微鏡で見ただけではオカヤドカリが全くキチン質を分解できないとは証明できない。
ヤシガニがキチン質を分解し、どのような状態で吸収しているのかは判然としないが、吸収した物質のうち、何らかを自らのキチン合成に流用している可能性はあるだろう。
オカヤドカリにおいても、スムーズな脱皮のために節足動物を与えることは保険になるのかも知れない。

一方、オカヤドカリとヤシガニには、栄養分の貯蓄に関して共通点もあるようだ。

http://www.lib.shimane-u.ac.jp/kiyo/d004/0007/n001.pdf

ヤシガニ・オカヤドカリの肝膵(いわゆるミソ)には海産甲殻類と異なり、多くの脂肪が蓄えられていることが述べられている。
つまり、海産の甲殻類に比べて飢えに強いということだろう。
ヤシガニは肝膵が肥大すると、腹部が大きく膨らむのだというが、おそらくオカヤドカリも同様だ。
肝膵に脂肪をたっぷり蓄えているからこそ、長期間の脱皮も乗り越えられるのかも知れない。
以前の記事で触れた、「貝殻の二巻目サイズ」はこの点においても重要なのかも…と今夜は一人合点している。

脱皮槽

2015年05月07日 19:11


http://purpureus.blog9.fc2.com/blog-entry-44.html


2012 年の夏ごろ、以前使用していた 15 cm キューブ水槽に替えて、石垣風脱皮槽を自作した。
それから 3 年ほどが経ち、その間にヤドカリは 3 回の脱皮を成功させてくれた。
脱皮槽としては合格点をもらえたようでほっとしている。
石垣風脱皮槽は飼育者(私個人)にも使い勝手の良いものだったので、作成のなりゆきをまとめておきたいと思う。


脱皮槽はオカヤドカリ飼育にもっとも重要なものだ。理想的には水槽全域に厚く砂を敷き詰めるべきではあるが、大型水槽でオカヤドカリを飼育する場合、それには困難が伴う。
また、ヤドカリが大型個体になるほど砂の深さは必要となり、必要な砂の量は膨らみ、水槽全体の重量はかなりのものとなる。
もともとガラス水槽での生物飼育に疎かった飼い主宅には専用の水槽台がなく、組み立て式の引き出し収納の上に水槽を載せている。すでに収納の天板はたわみつつあり、これ以上の荷重は避けたいところだ。
一方、以前使用していたキューブ水槽のように独立した脱皮槽は持ち運びができ、メンテナンスに便利ではあるが、同時にヤドカリが自由に行き来するための梯子も必要となる。
また、独立脱皮槽の場合は内容量が固定されるというデメリットもある。
さらにわがままを言わせてもらえば、レイアウトはできるだけ自然に見えるものがよかった。


ヤドカリの事情(推測)=脱皮槽は深いものがよい、容易に上り下りできるのがよい
飼い主の事情=脱皮槽は省スペース省砂で、拡張可能かつ見た目自然なものがよい


オカヤドカリ飼育は長期戦でもあるし、気張っても続かない。飼う側と飼われる側双方の折り合いをつけられるポイントを探すことが楽しめるコツのようにも思う。
そこで、アクリル板で水槽の一部を仕切り、そこに石垣で梯子をつけることを考えたのだった。


脱皮槽


まず 5 mm 厚の透明アクリル板を水槽用のコーキング剤で接着し、骨組みを作る。
その上から好みの石を積み、接着していく。
ヤドカリが小さい場合、あまり大きな石を使ってしまうと、石そのものが登れないという事態になるので注意が必要かも知れない。
事実、石垣を作りたての頃は、若紫(前甲長 18 mm のヤドカリ)でも石垣からよく転げ落ちていた。実を言うとスイスイ上り下りできるようになったのは最近である(本末転倒)。


IMG_0512.jpg


これを水槽に設置する。脱皮槽内側手前に細長いアクリル板をもう一枚かませ、砂を入れたのがこの状態である。
アクリル板がむき出しになっている。


IMG_0513.jpg


アクリル板と水槽の隙間に小石を詰め、上から砂をかけるとやや自然に見える。


IMG_0514.jpg


この脱皮槽のよいところは、ヤドカリの成長に合わせて広さ(少し手を加えれば深さ)を変えられるところである。私は図中の赤丸で示した部分を削り、仕切全体を右方向にずらすことで少しずつ脱皮槽を広くしている。
現在の脱皮槽体積は 18 × 13 × 20 ほどである。深さはあるが底面積は広くない。
これまでトラブルがなかったところをみると、ヤドカリの脱皮穴はそれほど広くなくても良いものなのではないかと思う。
水槽の一部を切り取って脱皮槽にすることは、水槽全体のスペース節約にもつながっている。
また脱皮中の水槽にぴったりと耳をつければ、砂中のヤドカリの状態を音で感じることができるため、生存確認しやすく、精神衛生によい。


*以下、脱皮層作成・設置・管理に関して注意した点をメモしておく
1. 手前に入れただけの小石はオカヤドカリによってほじくられるので、時々しょっちゅう補修する
2. ヤドカリの鋏の届く範囲になるべくコーキング剤を露出させない
3. コーキング剤はかたまりにくいので、パーツは数日かけて少しずつ接着する
4. 完成後はあく抜きをしてから水槽に導入する
5. 脱皮槽の砂が乾いてくると、手前の隙間から砂が漏れやすくなるので注意

*個人的に気に入っているだけで、大して便利でないような気もしてきた



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